『赤光』初版「屋上の石」⑧ No.00020

屋根にゐて微けき憂湧きにけり目したの街のなりはひの見ゆ 『赤光』初版「屋上の石」
「ゐる」という動詞には「座っている」、「じっとしている」、「とどまる」、「おさまる」などの意味がある(『学研全訳古語辞典』)。立っていたのか座っていたの ...
『赤光』初版「屋上の石」⑦ No.00019

屋根踏みて居ればかなしもすぐ下の店に卵を数へゐる見ゆ 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第七首。
二句切れで、「かなしも」の「も」は上代語の終助 ...
『赤光』初版「屋上の石」⑥ No.00018

屋根の上に尻尾動かす鳥来りしばらく居つつ去りにけるかも 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第六首。
先の第五首で「屋上」としたところを掲出歌では ...
『赤光』初版「屋上の石」⑤ No.00017

屋上をくじやうの石は冷つめたしみすずかる信濃のくにに我は来にけり 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第五首。
二句切れで、屋上は「屋根の ...
『赤光』初版「屋上の石」④ No.00016

天そそる山のまほらに夕ゆふよどむ光りのなかに抱いだきけるかも 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第四首。
天そそるは、「天に高く聳える ...
『赤光』初版「屋上の石」③ No.00015

鳳仙花城あとに散り散りたまる夕かたまけて忍び逢ひたれ 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第三首。
鳳仙花は、関東地方では七月中旬~十月 ...
『赤光』初版「屋上の石」② No.00014

しら玉の憂のをんな恋ひたづね幾やま越えて来りけらしも 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第二首。
「しら玉」は、古来、露や ...
『赤光』初版「屋上の石」① No.00013

あしびきの山の峡はざまをゆくみづのをりをり白くたぎちけるかも 『赤光』初版「屋上の石」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「屋上の石」八首中の第一首。一連の末尾に「(七月作)」とある。
「あ ...
『赤光』初版「悲報来」詞書 No.00012

詞書
七月三十日信濃上諏訪に滞在し、一湯浴びて寝ようと湯壺に浸つてゐた時、左千夫先生死んだといふ電報を受取つた。予は直ちに高木なる島木赤彦宅へ走る。夜は十二時を過ぎてゐた。
『赤光』初版「大正二年(七月
『赤光』初版「悲報来」⑩ No.00011

あかあかと朝焼けにけりひんがしの山並の天あめ朝焼けにけり 『赤光』「悲報来」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」の最終、第十首。
第二句まではア段音とカ行音の響きがまぎれもない明るさを如実に表している。しか ...