「09」の検索結果 35 件
『赤光』初版「悲報来」⑧ No.00009
罌粟けしはたの向うに湖うみの光りたる信濃のくにに目ざめけるかも 『赤光』「悲報来」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第八首。
島木赤彦宅から「罌粟はた」つまりケシ畑が見える。ケシの花は白・紅・紫などがあるが ...
『赤光』初版「みなづき嵐」Ⅳ No.00046
みなづきの嵐のなかに顫ふるひつつ散るぬば玉の黒き花みゆ 『赤光』初版「みなづき嵐」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「みなづき嵐」の十四首中四首目。
水無月みなづき(旧暦六月)の嵐という大きく動きのある景の中に何やらふるえる存在を示唆する。
ふるえながら散 ...
『赤光』初版「みなづき嵐」 Ⅲ No.00045
わがいのち芝居しばゐに似ると云はれたり云ひたるをとこ肥りゐるかも 『赤光』初版「みなづき嵐」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「みなづき嵐」の十四首中三首目。
主体の命、すなわち人生が芝居に似ていると言われた。精神科医としての主体だろうか、歌人としての主体だ ...
『赤光』初版「みなづき嵐」Ⅱ No.00044
... 点を表す語と「たれ」という已然形止めによる強調(「週刊俳句 Haiku Weekly」大野秋田「文法外の文法と俳句の文語(前編)」2012-09-23、)を用いることで、急に一瞬を捉えることになる。標題の「みなづき嵐」が詠み込まれている。六月に吹く嵐である。
一首目で詠まれた ...
『赤光』初版「みなづき嵐」Ⅰ No.00043
どんよりと空は曇りて居をりたれば二たび空を見ざりけるかも 『赤光』初版「みなづき嵐」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「みなづき嵐」の十四首中一首目。十四首目の後に「(六月作)」とある。
「どんよりと空は曇っているので」という順接の確定条件の上句は、それを ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅦ No.00042
殺人未遂被告某の精神状態鑑定を命ぜられて某監獄に通ひ居たる時、折にふれて詠みすてたるものなり。 『赤光』初版「麦奴」詞書
『赤光』初版「麦奴」十六首の後の詞書。
「殺人未遂被告某」は、五首目で「女をんな刺しし男」、六首目で「監房より今しがた来こし囚人」、七首目で「 ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅥ No.00041
黴毒のひそみ流るる血液を彼の男より採りて持ちたり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十六首目。この歌の後に「(七月作)」と記載されている。
黴毒(梅毒)とは、病原菌トレポネマ‐パリズムの感染による慢性全身性疾患のこと。 ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅤ No.00040
よごれたる門札おきて急ぎたれ八尺やさか入りつ日ゆららに紅し 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十五首目。
「門札」は「もんさつ」とも「かどふだ」とも読めるが、いずれにしても音数は変わらない。意味もともに「住人の氏名などを ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅣ No.00039
監獄に通ひ来しより幾日いくひ経し蜩かなかな啼きたり二つ啼きたり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十四首目。
「殺人未遂被告某の精神状態鑑定を命ぜられて」監獄に通って来ている作品主体。来始めてから数日経った。
蜩かな ...
『赤光』初版「麦奴」Ⅻ No.00037
けふの日は何も答いらへず板の上に瞳ひとみを落すこの男はや 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十二首目。
一連後付の詞書にあるように「精神状態鑑定」であるから、そのための質問に「殺人未遂被告某」が答えた日もあったのだろう。しか ...