悲報来

No Image
諏訪のうみに遠白とほじろく立つ流波ながれなみつばらつばらに見んと思へや  『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第九首。島木赤彦宅から見える諏訪湖。遠くに白くというのを「遠白く」、流れるように起 ...

悲報来

No Image

罌粟けしはたの向うに湖うみの光りたる信濃のくにに目ざめけるかも  『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第八首。

  島木赤彦宅から「罌粟はた」つまりケ ...

悲報来

No Image
赤彦と赤彦が妻吾(あ)に寝よと蚤とり粉を呉れにけらずや 『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第七首。

   島木赤彦宅での一場面。作品主体は主人の赤彦に師・伊藤左千夫の悲報を伝えた ...

悲報来

No Image

死にせれば人は居ぬかなと歎かひて眠り薬をのみて寝んとす 『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第六首。

死ねば人という存在はなくなるという自明のことを思い、嘆く作品主体。「死にせれば ...

悲報来

No Image
氷きるをとこのロのたばこの火赤かりければ見て走りたり  『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第五首。前の一首と同様、採氷している人々を見ている。たばこを吸っていたのは、一人だろうか。 ...

悲報来

No Image
氷室より氷をいだす幾人はわが走る時ものを云はざりしかも  『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第四首。イ段音の頭韻が特徴的だ。「氷室」の「ひ」、「いだす」の「い」、「幾人」の「い」、「云はざり ...

悲報来

No Image
すべなきか蛍をころす手のひらに光つぶれてせんすべはなし   『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第三首。「光」と「蛍をころす」は第ニ首の反復。

この一首で「すべなきか」と ...

悲報来

No Image

ほのぼのとおのれ光りてながれたる蛍を殺すわが道くらし 『赤光』「悲報来」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「悲報来」十首中の第二首。

  「おのれ」には「自分自身で」、「ひとりでに」という意味が ...

悲報来

No Image

ひた走るわが道暗ししんしんと堪へかねたるわが道くらし 『赤光』「悲報来」

『赤光』初版は「大正二年(七月迄)」から始まる。続いて「明治四十五年 大正元年」となるから、逆年順に歌が並んでいるのが特徴である。歌集の常識・慣習からは ...

悲報来

No Image

巻末に

明治三十八年より大正二年に至る足かけ九年間の作八百三十三首(筆者注:実際は八三四首)を以て此一巻を編んだ。偶然にも伊藤左千夫先生から初めて教をうけた頃より先生に死なれた時までの作にな つてゐる。 〔……〕特に近ごろの予の ...