『赤光』初版「麦奴」ⅩⅦ No.00042

殺人未遂被告某の精神状態鑑定を命ぜられて某監獄に通ひ居たる時、折にふれて詠みすてたるものなり。 『赤光』初版「麦奴」詞書
『赤光』初版「麦奴」十六首の後の詞書。
「殺人未遂被告某」は、五首目で「女をんな刺しし男」、六 ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅥ No.00041

黴毒のひそみ流るる血液を彼の男より採りて持ちたり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十六首目。この歌の後に「(七月作)」と記載されている。
黴毒(梅毒)とは、病原菌トレポネマ‐ ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅤ No.00040

よごれたる門札おきて急ぎたれ八尺やさか入りつ日ゆららに紅し 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十五首目。
「門札」は「もんさつ」とも「かどふだ」とも読めるが、いずれにしても音数 ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅣ No.00039

監獄に通ひ来しより幾日いくひ経し蜩かなかな啼きたり二つ啼きたり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十四首目。
「殺人未遂被告某の精神状態鑑定を命ぜられて」監獄に通って来ている作 ...
『赤光』初版「麦奴」ⅩⅢ No.00038

紺いろの囚人の群むれ笠かむり草苅るゆゑに光るその鎌 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十三首目。
「紺いろの囚人の群むれ」とあるが、ここでの「紺いろ」は浅葱あさぎ色のことか。1 ...
『赤光』初版「麦奴」Ⅻ No.00037

けふの日は何も答いらへず板の上に瞳ひとみを落すこの男はや 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十二首目。
一連後付の詞書にあるように「精神状態鑑定」であるから、そのための質問に ...
『赤光』初版「麦奴」Ⅺ No.00036

光もて囚人の瞳ひとみてらしたりこの囚人を観みざるべからず 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十一首目。
作品主体が光を使っている。手にもつ灯か、机上などに設置された灯か。照ら ...
『赤光』初版「麦奴」⑩No.00035

まはりみち畑にのぼればくろぐろと麦奴むぎのくろみは棄てられにけり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十首目。
目的地は畑。回り道を上っていく。黒々とした色が目に入る。 ...
『赤光』初版「麦奴」⑨No.00034

相群れてべにがら色の囚人しうじんは往ゆきにけるかも入り日赤あかけば 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中九首目。
「べにがら色」は「ベンガラ」という黄味 ...
『赤光』初版「麦奴」⑧No.00033

ほほけたる囚人の眼のやや光り女を云ふかも刺しし女を 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中八首目。
第一句の「ほほく」は、「蓬く」 ...