麦奴

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巻尺まきじやくを囚人のあたまに当て居りて風吹き来しに外面そともを見たり  『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中七首目。

  囚人の頭に巻尺を当て、頭囲を測って ...

麦奴

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監房より今しがた来こし囚人はわがまへにゐてやや笑ゑめるかも   『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中六首目。

  監房から呼ばれて、たった今作品主体のもとに来 ...

麦奴

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ひた赤し煉瓦の塀はひた赤し女をんな刺しし男に物ものいひ居れば 『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中五首目。

  「ひた赤し」の反復が印象的。「ひた」は「直」の ...

麦奴

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病監の窓の下びに紫陽花あぢさゐが咲き、折をり風は吹き行きにけり  『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中四首目。

  読点までを一息に読みたい。「病監」は、監獄 ...

麦奴

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飯いひかしぐ煙けむりならむと鉛筆の秀ほを研ぎて居ゐて煙けむりを見るも 『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中三首目。

  「飯いひ」とは飯めし、ごはんのこと。「かしぐ」は「かしく」 ...

麦奴

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雨空あめぞらに煙上のぼりて久しかりこれやこの日の午時ちかみかも  『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中二首目。

  雨が降る空にずっと煙が上っている。煙は、次 ...

麦奴

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しみじみと汗ふきにけり監獄のあかき煉瓦にさみだれは降り  『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中一首目。十六首目の後に、(七月作)とある。

  「しみじみ」は心 ...