『赤光』初版「七月二十三日」④ No.00024
十日なまけけふ来て見れば受持の狂人ひとり死に行きて居し 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」五首中の第四首。
「十日なまけ」た夏休みが終わった。休み明けに病院へ来た。作品主体は当時、東京府巣鴨病院で働いていた。
「受持の狂人ひとり」(担当の精神病患者1名)が亡くなっていたというのだ。「死に行きて居し」は、過去の助動詞「き」の連体形終止となっている。余情を出すための手法だが、自分が仕事を休んでいた間に、患者は苦しみ悶えていたという事実を突きつけられた。医師としての無念が表れている。
ここで第二首を読み返すと、担当患者の現状など知るよしもない作品主体のさまが「十日まり汗をながしてなまけてゐたり」に表れている。前の第三首と、続く第五首には、ともに鳳仙花が詠み込まれるが、担当患者の死を知る前後で鳳仙花の見え方も違っただろう。
https://twitter.com/takahashi_ry5?s=09

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