『赤光』初版「麦奴」⑥No.00031

監房より今しがたし囚人はわがまへにゐてややめるかも   『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中六首目。

  監房から呼ばれて、たった今作品主体のもとに来た囚人。一連の後の詞書の「殺人未遂被告某」が「精神状態鑑定」の対象者として来たのだろう。

 作品主体の前にいる。座っているのだろう。表情はというと、やや笑っている。「かも」は、二首目同様、詠嘆。

  先の五首目から、八首目まで、この囚人について詠んでいる。掲出歌は笑うという表情であるから、目と口(歯をも含む)を中心にイメージが提示される。しかし、どんな目の形で、どんな歯並びかなどは読者の想像に任されている。

https://twitter.com/takahashi_ry5?s=09

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