『赤光』初版「麦奴」⑦No.00032

巻尺まきじやくを囚人のあたまに当て居りて風吹き来しに外面そともを見たり  『赤光』初版「麦奴」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中七首目。

  囚人の頭に巻尺を当て、頭囲を測っている。身体的な基礎データも重要な記録・分析要素なのだろう。作品主体が視点は囚人の頭ないしは巻尺にある。第二句が九音と字余りである。

  そのときに風が吹いて来た。夏であるから、窓は開けていたのだろう。その風の侵入につられて、作品主体の注意は屋外に行く。

  五首目にあるように「をんな刺しし男」であり、六首目の、目の前で「やや」んでいた囚人である。八首目では「ほほけたる囚人」となる。十一首目の「囚人の瞳」は、同じ男だろうか。十二首目の「板の上にひとみを落すこの男」、十六首目の血液を採られた男も同一人物だろうか。

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