『赤光』初版「みなづき嵐」Ⅷ No.00050

蚊帳のなかに蚊が二三疋にさんびきゐるらしき此寂しさを告げやらましを    『赤光』初版「みなづき嵐」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「みなづき嵐」の十四首中八首目。

寝床を覆う蚊帳、蚊を防ぐためのものなのだが、二、三匹の蚊が入ってきているようである。

状況が状況なら、この寂しさを人に知らせてやっただろうになあ、と思っている作中主体。

「蚊帳」という語は、六首目にも使われている。そこにいたのは「狂じや一人」であった。