『赤光』初版「みなづき嵐」Ⅱ No.00044

わが体にうつうつと汗にじみゐて今みな月の嵐ふきたれ    『赤光』初版「みなづき嵐」

『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「みなづき嵐」の十四首中二首目。

たい」と言って、身体を客体化している。そこに汗が滲んでいる。「うつうつ」のここでの意味は、「雲や霧がたれこめているさま」(『精選版 日本国語大辞典』)に近く、それを汗の出具合を表すのに用いたと思われる。

上句の時間経過はゆっくりとしていたが、下句で「今」という時の一点を表す語と「たれ」という已然形止めによる強調(「週刊俳句 Haiku Weekly」大野秋田「文法外の文法と俳句の文語(前編)」2012-09-23、https://weekly-haiku.blogspot.com/2012/09/blog-post_5559.html?m=1)を用いることで、急に一瞬を捉えることになる。標題の「みなづき嵐」が詠み込まれている。六月に吹く嵐である。

一首目で詠まれたどんよりとした曇り空と掲出歌の上句とは、呼応する陰鬱な空気がある。そこに突如、嵐が吹くのである。心身ともにいくらかの驚きを覚えていよう。

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