『赤光』初版「麦奴」ⅩⅢ No.00038
紺いろの囚人の群笠かむり草苅るゆゑに光るその鎌 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中十三首目。
「紺いろの囚人の群」とあるが、ここでの「紺いろ」は浅葱色のことか。1889(明治22)年改正監獄則では刑事被告人は浅葱色の服を着ることになっていたとのことだ(『レファレンス協同データベース』質問「1800~1900年頃の日本の囚人服がどの様なものだったか。特に色について知りたい。」https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000150599) 。その群がった囚人たちは、笠を被っている。
笠を被ってしている作業は、草刈りだ。そのため、囚人たちは鎌を持っている。その鎌が日に照らされ光っているのだ。
九首目では「べにがら色の囚人」が詠まれた。そこでは「入り日赤けば」と赤を基調とした少しの明るさと温かさのあるイメージだ。掲出歌は、「紺いろ」、草の色、そして鎌の光が視覚的に提示され、比較的暗さ、冷たさが出ている。

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