『赤光』初版「麦奴」⑤No.00030

ひた赤し煉瓦の塀はひた赤し女をんな刺しし男に物ものいひ居れば 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中五首目。
「ひた赤し」の反復が印象的。「ひた」は「直」の ...
『赤光』初版「麦奴」④No.00029

病監の窓の下びに紫陽花あぢさゐが咲き、折をり風は吹き行きにけり 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中四首目。
読点までを一息に読みたい。「病監」は、監獄 ...
『赤光』初版「麦奴」③No.00028

飯いひかしぐ煙けむりならむと鉛筆の秀ほを研ぎて居ゐて煙けむりを見るも 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中三首目。
「飯いひ」とは飯めし、ごはんのこと。「かしぐ」は「かしく」 ...
『赤光』初版「麦奴」② No.00027

雨空あめぞらに煙上のぼりて久しかりこれやこの日の午時ちかみかも 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中二首目。
雨が降る空にずっと煙が上っている。煙は、次 ...
『赤光』初版「麦奴」① No.00026

しみじみと汗ふきにけり監獄のあかき煉瓦にさみだれは降り 『赤光』初版「麦奴」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中一首目。十六首目の後に、(七月作)とある。
「しみじみ」は心 ...
『赤光』初版「七月二十三日」⑤ No.00025

鳳仙花かたまりて散るひるさがりつくづくとわれ帰りけるかも 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」の五首中五首目。
鳳仙花は、夏に葉腋に不整斉花が二~ ...
『赤光』初版「七月二十三日」④ No.00024

十日なまけけふ来て見れば受持の狂人きやうじんひとり死に行きて居し 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」五首中の第四首。
「十日なまけ」た夏休みが終 ...
『赤光』初版「七月二十三日」③ No.00023

たたかひは上海しやんはいに起り居ゐたりけり鳳仙花紅あかく散りゐたりけり 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」五首中の第三首。
「たたかひは上海しやんはいに起り居ゐたりけり ...
『赤光』初版「七月二十三日」② No.00022

夏休日なつやすみわれももらひて十日とをかまり汗をながしてなまけてゐたり 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」五首中の第二首。
「夏休日」は、現在に ...
『赤光』初版「七月二十三日」① No.00021

めん鷄どりら砂あび居たれひつそりと剃刀研人かみそりとぎは過ぎ行きにけり 『赤光』初版「七月二十三日」
『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」五首中の第一首。
「めん鷄ら」であるから雌の鶏が複数いる。鶏 ...