「09」の検索結果 35 件

麦奴

No Image
相群れてべにがら色の囚人しうじんは往ゆきにけるかも入り日赤あかけば  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中九首目。   「べにがら色」は「ベンガラ」という黄味を帯びた赤色顔料を塗料・染料などとした色。囚人の服 ...

麦奴

No Image
ほほけたる囚人の眼のやや光り女を云ふかも刺しし女を  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中八首目。     第一句の「ほほく」は、「蓬く」ならば「髪の毛などが、ほつれ乱れる。けば立って ...

麦奴

No Image
巻尺まきじやくを囚人のあたまに当て居りて風吹き来しに外面そともを見たり  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中七首目。   囚人の頭に巻尺を当て、頭囲を測っている。身体的な基礎データも重要な記録・分析要素なの ...

麦奴

No Image
監房より今しがた来こし囚人はわがまへにゐてやや笑ゑめるかも   『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中六首目。   監房から呼ばれて、たった今作品主体のもとに来た囚人。一連の後の詞書の「殺人未遂被告某」が「精神 ...

麦奴

No Image
ひた赤し煉瓦の塀はひた赤し女をんな刺しし男に物ものいひ居れば 『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中五首目。   「ひた赤し」の反復が印象的。「ひた」は「直」の字が当てられ、「すべて」「まったく」の意を表す接 ...

麦奴

No Image
病監の窓の下びに紫陽花あぢさゐが咲き、折をり風は吹き行きにけり  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中四首目。   読点までを一息に読みたい。「病監」は、監獄で、病気の囚人を収容する監房。「下び」の接尾語「び ...

麦奴

No Image
飯いひかしぐ煙けむりならむと鉛筆の秀ほを研ぎて居ゐて煙けむりを見るも 『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中三首目。   「飯いひ」とは飯めし、ごはんのこと。「かしぐ」は「かしく」(飯をたく)の近世以後の形。ご飯を炊いて出ている ...

麦奴

No Image

雨空あめぞらに煙上のぼりて久しかりこれやこの日の午時ちかみかも  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中二首目。   雨が降る空にずっと煙が上っている。煙は、次の三首目で「けむり」とルビが振ってある。 & ...

麦奴

No Image

しみじみと汗ふきにけり監獄のあかき煉瓦にさみだれは降り  『赤光』初版「麦奴」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「麦奴」の十六首中一首目。十六首目の後に、(七月作)とある。   「しみじみ」は心に深く感じいるさまを表わす語。「しんみり」と同 ...

七月二十三日

No Image

鳳仙花かたまりて散るひるさがりつくづくとわれ帰りけるかも  『赤光』初版「七月二十三日」 『赤光』初版「大正二年(七月迄)」「七月二十三日」の五首中五首目。   鳳仙花は、夏に葉腋に不整斉花が二~三個ずつ横向きに咲く。そのため「かたまりて散る」と ...